2023年度 第29回平和・協同ジャーナリスト基金 奨励賞受賞
パレスチナに生きるふたり ママとマハ
文・写真 | 高橋 美香 |
---|---|
ISBN | 978-4-7803-1254-6 C8795 |
判 型 | B5判変型上製 |
ページ数 | 44頁(オールカラー) |
発行年月日 | 2023年01月 |
価 格 | 定価(本体価格1,800円+税) |
ジャンル |
写真絵本でお届けする、パレスチナに生きる女性たちのちいさな願い、祈り、声。
バスマ(ママ)とマハは、写真家高橋美香さんがパレスチナで居候として、ともに生活をおくってきたふたつの家族の女性たちです。バスマは分離壁が造られ土地を奪われてしまったビリン村に、マハはたび重なる軍事侵攻に苦しめられているジェニン難民キャンプに暮らしています。
わたしたちと同じように、子どもや周囲の人々を気遣いながら懸命に生きているバスマとマハ。高橋さんを通じて知り合ったふたりは、互いを思いやっています。「いつか一緒にお茶を飲もう」という願いは、果たして叶うのでしょうか。
18ページのマハの言葉として「ようやくイマードは天国で安らぎを得られた」という箇所があります。
これは、本来ならばイスラームでは「全員一斉に神による『最後の審判』を受けてから、それぞれの生前のおこないによって、天国と地獄へと振り分けられる」とされるので、まだ「最後の審判」を受ける前のイマードは天国へは達しておらず、表現としては「正しくない」のですが、「死後、安らぎを得られる場所=天国」というイメージがわたしのなかにあり、このような表記にいたしました。
マハの本来の言葉の意味は「ようやくイマードは、来る日の最後の審判を経て慈悲深い神によって天国に行くことができるであろう、生前には得ることが難しかった安らぎを得られるであろうと信じる」というものだったと思います。
パレスチナ人の多数が信仰するイスラームの教えは、彼らの人生観や死生観の根幹となる大切なことなので、より正しく理解するために、ひとこと申し添える必要があるかと思い、ここに追記する次第です。
高橋 美香
写真家。広島県府中市生まれ。大学在学中より世界の国々を歩き、その地に生きる人びとの「いとなみ」をテーマに撮影を始め、作品を発表。