特別支援学校寄宿舎のまどから
子どもの育ちを社会にひらく
著 者 | 小野川 文子 |
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ISBN | 978-4-7803-1210-2 C0037 |
判 型 | 四六判 |
ページ数 | 140頁 |
発行年月日 | 2022年05月 |
価 格 | 定価(本体価格1,500円+税) |
ジャンル |
ここに在る子どもと家族の生活を支える人と仕事
小中高校生が通う特別支援学校に併設された寄宿舎には、寝食をともにし教育と生活の支援をする専門の指導員が配置されています。家庭の事情を抱えたり障害の重度・多様化の進むなか、通学保障のみならず寄宿舎の役割は拡充されてきました。
しかし、設置率は3割にも満たず統廃合が加速するなか、子どもと家族の生きることを支える寄宿舎と寄宿舎指導員が果たす役割とは何か、広く考え会いたいと思います。
「障害児を産んだのは母親の責任」と、家族からも孤立し自分を責めるお母さんたちの言葉をどう受けとめるのか、私たちの社会のあり方が問われています。
知っていますか?子どもが生きるもうひとつのお家
はじめに 寄宿舎を伝えたい
1章 子ども編
子どもの育ちをまるごと支える生活・居場所と仲間づくり
2章 家族編
親の願い・家族の努力、葛藤・孤立からつながりを紡ぐ
3章 指導員編
子どもの発達と生活を支える寄宿舎指導員の仕事・専門性とは?
4章 実態調査編
困窮と重複する困難、コロナ禍でさらに浮き彫りに
あとがき 自らの子育てと生い立ちをふり返りながら
★寄宿舎の1日の流れ・用語解説・略年表付き
ご自身が寄宿舎指導員という実践現場で、子どもと家族を支えてきた小野川さんの筆には、強さと温かさがこもっています。また、ご家族に障害者がいらしたことを明かす「はじめに」は、本書執筆への決意と使命感にあふれています。それらは、人の心を打ちますが、体験からだけではなく、研究の道に進んだ小野川さんの研究力量が、生活のなかでの障害児の教育という意味を広く社会に問いかけ、本書に説得力をもたせています。「障害児を産んだのは私の責任」というお母さんたちの言葉には胸を締め付けられますが、それは現在のジェンダー問題にも通じる日本社会全体が問われるテーマでもあるのです。一人でも多くの方に自分事として本書を手に取っていただくことを願います。
小野川 文子
自由の森学園寮監、東京都特別支援学校寄宿舎指導員として子ども、特に障害や病気のある子どもの発達と生活支援保護者支援に携わる。
現在、北海道教育大学釧路校教授。
専門分野は、寄宿舎教育、特別支援教育、障害児とその家族の「貧困」。