どう関わる?思春期・青年期のアスペルガー障害
「生きにくさ」の理解と援助のために
編著者 | 京都ひきこもりと不登校の家族会 ノンラベル |
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ISBN | 978-4-87699-990-3 C0047 |
判 型 | A5判 |
ページ数 | 120頁 |
発行年月日 | 2006年01月 |
価 格 | 定価(本体価格1,300円+税) |
ジャンル |
「生きにくさ」をどう理解するのか
不登校・ひきこもりの青年にアスペルガー障害のケースが増えている。発達障害を理解し、特性に応じた関わり方と援助方法を具体的に。
投稿者:女性・49歳
評価:☆☆☆☆
京都で活動しているひきこもりと不登校の家族会、ノンラベルが編集した本です。
当初は会の名称に沿った活動をしていたそうですが、当事者の中にどうも発達障がいを抱えていると思しき人々を発見した事から、サブタイトルにある「生きにくさ」の理解と援助のための活動も開始したそうです。
家族援助の必要性や発達障がいの特徴などをやさしい言葉で説いていて、あまり大部にならず、読みやすいので、アスペルガーと言う言葉に初めて向き合った人や、初めて向き合う事になる当事者と関わりを持つ人々(特に学校の先生など)が読む、読んで貰うのに相応しい本だと思います。
現在、障がいについての基準は身体的なもの以外はメインの物差しは知能指数であり、多くのアスペルガーの人々は、この物差しを使うと、何の支援も配慮も受けられませんが、実際は生活して行く上で数々の困難があり、周囲の無理解や時としてはいじめさえ受け、傷ついてしまった場合の大変さは、並大抵ではありません。それを支える家族も、援助がないと大変な事になる事例が多数です。
この本はアスペルガーを代表例にしてはいますが、高機能の発達障がいの当事者や家族が抱える困難さを声を荒立てる事なく、穏やかに、しかし肝心な部分は押さえて書いていて、なかなかいい本だと思います。
過去の少年犯罪をめぐる報道から、発達障がい=コワいと思い込んでしまった人々にこそ読んで欲しいですが、マスコミや文筆業に関わる人だったら、得意分野に関わりなく、最低限の知識として、こういう本を一冊は読んでおいて欲しいと思いました。
京都ひきこもりと不登校の家族会 ノンラベル
今ひきこもっている本人たちは、何らかの挫折を体験したり、人間関係にこじれたり、社会に抗議する気持ちをもったりと、原因や経過はさまざまですが、彼らのこころが傷ついていることは共通した事実です。「ひきこもる」という勇気ある決断で世間の少数派を選択した彼らですが、こころのなかは想像を超える葛藤や罪悪感、不安でいっぱいです。年数が長くなるほど、昼夜逆転や摂食障害、強迫性傷害などの二次的な症状が出ることもあります。
親にできること。それは、ご本人の「小さなサイン」にできるだけ早く気付き、ご本人の気持ちを楽にすることです。しかし、親御さんの気持ちがしんどいと、サインを見逃し、本人を支えることができません。まず、親御さんに気持ちの余裕をもっていただき、本人への適切な対応を学んでいただくために「ノンラベル」はつくられました。
また、ご本人のなかで、アスペルガー障害やその周辺の障害、その疑いのある方が増加し、2004年12月にアスペルガー障害の思春期・青年期・成人期を支援する部門として「アスペ・ノンラベル」を設立しました。