新しい労働世界とジェンダー平等
深読みNowシリーズ6
著 者 | 浅倉 むつ子 |
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ISBN | 978-4-7803-1241-6 C0036 |
判 型 | 四六判 |
ページ数 | 184頁 |
発行年月日 | 2022年09月 |
価 格 | 定価(本体価格1,700円+税) |
ジャンル |
ポスト・コロナの労働世界で実現を!!
ジェンダー・ギャップ指数日本は世界116位!
立ち後れる日本のジェンダー平等。コロナ禍のしわ寄せを受けるケア労働を始め、格差是正を求める新しい労働世界実現の道を拓く。
第1章 コロナ化の生活の変化
第2章 労働分野のジェンダー格差と「ケアレス・マン」モデル
第3章 エッセンシャル・ワーカーの困難
第4章 ジェンダー平等に関わる労働法制の展開
第5章 時間と資金の新しい考え方 「ケアレス・マン」モデルからの脱却
第6章 暴力とハラスメントのない世界を
第7章 日本のジェンダー平等を国際基準に
本書における貧困と格差を是正する新しい労働世界とは、
①同一価値労働同一賃金 ②長時間労働の是正 ③エッセンシャルワークの尊重
の3つのポイントから成ります。
では、なぜそのためにジェンダー視点が重要なのか?
人は生きていくうえで、家事、育児、介護といった家族労働と無関係ではいられません。しかし過酷な環境で働く会社員=おもに男性は、家族のケアができないばかりか、自分のケアを誰かにしてもらっている=ケアレス・マンの状態にあります。ケアレス・マンのケアを担う人=おもに女性は、賃金の発生する労働においても、短い勤続年数、低い階級、非正規労働といった立場に置かれることが多く、またエッセンシャルワーカーの多くが女性であることも同様の理由からです。
上記を踏まえて新しい労働世界の3つのポイントを見てみます。
① 同一価値労働同一賃金=労働時間の短縮による生活時間の確保により、男女の別なくケア労働を担うことで男女格差が是正される。
② 同一価値労働同一賃金=非正規労働者の多くを占める女性や女性差別のため企業内において不遇を受ける女性の賃金が上昇し、男女間賃金格差が是正される。
③ エッセンシャルワークの尊重=エッセンシャルワークの中核を担うケア労働において、多くを占める女性の処遇が改善される。
以上からわかるように3つの要素すべてが女性の地位向上と密接に結びついています。新しい労働世界を目指す事とジェンダー格差を解消すること、その双方に働きかけることが重要であることがお分かりいただけるかと思います。
本書では、そのために社会、司法、行政にどう働きかけていくべきか、日本と世界の今までの動きを俯瞰し、提案します。
浅倉 むつ子
早稲田大学名誉教授。1948年千葉県生まれ、法学博士。日本学術会議会員、日本労働法学会代表理事、ジェンダー法学会理事長などを歴任。現在、女性差別撤廃条約実現アクション共同代表、国際女性の地位協会共同代表。