パンツのなかのまほう
著 者 | なかがわ さやこ:さく・でぐち かずみ:え |
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ISBN | 978-4-7803-1173-0 C8793 |
判 型 | 190mm×190mm |
ページ数 | 36頁(オールカラー) |
発行年月日 | 2021年08月 |
価 格 | 定価(本体価格1,600円+税) |
ジャンル |
◆物語には、現実の被害事例を基に、被害救済を阻害する複数の障害物が織り込まれています。
たとえば、被害者から「言うな」と脅されたり、「内緒だよ」と約束させられたりして、子どもが被害を訴えられないようにされてしまうこと、せっかく被害を訴えたのに大人のなかには話を信じてくれない人がいること。こうした被害者救済を阻む障害物を前もって提示することで、それでも諦めずに被害を大人に言い続けるように伝えます。
◆巻末には「パンツの中の魔法」を取り戻すための具体的な対処法を記載しています。
子どもたちと一緒に学ぶために、大人に持っていてほしい知識(「虐待について打ち明けられた時の対処方法」「性的虐待のサイン」「子どもの性被害の実態」、通報&相談先など)を掲載しています。
◆パンツの中の魔法とは?
「パンツの中の魔法」には、ふたつの意味があります。ひとつは、お話の中でリスが言うように「大人になったら使える魔法」。つまり、子どもにとっては将来あるであろう、好きな相手との幸福な性行為につながるホジティブな性を意味します。もうひとつは、生まれた時から誰もが持っている「性にまつわる尊厳」です。性暴力は、「性にまつわる尊厳」を盗む犯罪とも言えます。しかし、きちんと被害を訴えて、適切な対応をしてもらい、傷ついた心と体をちゃんとケアしてもらえれば、取り戻せる魔法なのです。
◆この物語が生まれた背景
「2003年に千葉県浦安市で起きた、障がいのある女児児童らが担任教諭から繰り返しわいせつ被害を受けた事件に、新聞記者として関わりました。私はこの事件の取材を機に、裁判、学校、そして教育委員会の構造的な問題を繰り返し記事にしましたが、残念ながら具体的な変化を生じさせることはできませんでした。
その後、子どもへの性暴力の存在が広く知られるようになり、当時に比べれば、声を上げやすくなったという変化がありながらも、今も多くの子どもたちが性被害を受け続けています。また、指導的立場にある大人が、園児や児童生徒へのわいせつで毎日のように逮捕や処分されているにも関わらず、未だに抜本的な解決策が実行されていません。そのような状況下でも、子どもたちを性暴力から守るにはどうしたらよいのか?という問いへの、自分なりの答えとして、この物語は生まれました。」(巻末解説より)
なかがわ さやこ(中川紗矢子)
毎日新聞記者を経て、障がいのある人たちのアートをブランド化するプロジェクトに取り組んだ後、英国エセックス大経営大学院修了(マーケティング&ブランド・マネジメント)、尊厳が守られる社会を目指して研究と創作をする傍ら、University Centre ColchesterとColchester Instituteで教えている。一女の母。
でぐち かずみ(出口かずみ)
絵本作家・イラストレーター。猫2匹と暮らしている。
作品に『どうぶつせけんばなし』『画集 小八』(以上、えほんやるすばんばんするかいしゃ)『おべんとういっしゅうかん』(学研プラス)『うろおぼえ一家のおかいもの』(理論社)『名前のないことば辞典』(遊泳舎)などがある。