告白
岐阜・黒川 満蒙開拓団73年の記録
著 者 | 川 恵実・NHK ETV特集取材班 |
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ISBN | 978-4-7803-1047-4 C0036 |
判 型 | 四六判 |
ページ数 | 324頁 |
発行年月日 | 2020年03月 |
価 格 | 定価(本体価格2,500円+税) |
ジャンル |
渾身のフォト・ルポルタージュ
敗戦の満州から生きて還ったその命の底に、何があったのか
これは、今を生きる私たちにつながる父母・祖父母の命と尊厳の記録である。
近隣の開拓団の集団自決の報が続くなか、開拓団副団長は、こう話したのだった。
「どうにかして、生さて日本に帰るために、あんたら娘15人は、犠牲になって・・・
兵隊さんの奥さんには頼めんでなぁ。どうか頼む」
戦後75年に贈る未来への告白
2017年8月、NHK ETV特集「告白~満蒙開拓団の女たち~」の放送から2年半。
女性たちの心の奥底と、次世代の人々の苦悩と決意までも聴き取った
第2次世界大戦前、日本政府は、世界恐慌後の不況下、地方農村部の困窮層などを農業移民として満州国に送り出した。この満蒙開拓は、他方で、満州国の国防上でも重要な政策となり、約27万人が渡ったといわれる。
岐阜県加茂郡黒川村(現・白川町黒川)を中心とした黒川開拓団は、約650人が吉林省陶頼昭に入植。
敗戦後、現地の人々による襲撃や食料不足の中、黒川開拓団は、生き延びるために、侵攻してきたソ連軍将兵に開拓団の護衛と食料調達を依頼。その見返りとして、開拓団の未婚女性15人が「性の接待」をするという約束がなされた。近隣の開拓団の集団自決が相次ぐ中、「接待」により、およそ450人が帰国を果たす。
さまざまな証言から、「接待」は終戦直後の9月頃から11月頃まで、またはそれ以上、ソ連軍が去るまで続けられたともいわれている。
「 接待」は、戦後長く、語ってはいけないこととされ、その事実は開拓団員たちが亡くなってしまうと同時に、記憶する人が誰もいなくろうとしていた。
しかし、2013年、「接待」に行った女性が公の場でその事実を告白。その後、「接待」をめぐってさまざまな証言が明かされることとなった。
本書は、「接待」に行った女性たちと、それにより生き延びた村の人たち、その次世代の人々の苦悩と決意の記録である。
プロローグ 佐藤ハルエさんとの出会い
Ⅰ部 告白
1 ある開拓団員の告白
2 黒川村を訪ねて
3 なぜ、それが始まったのか
4 満州からの帰国
満州をめぐる戦前の国際情勢
Ⅱ部 それぞれの戦後
5 家族 つながっていく命
6 語れなかった人々
7 父の姿
Ⅲ部 歴史を遺
8 残ったもの、遺すもの
9 生きてきた、ということ
10 動き始めた2世たち
11 父母が暮らした場所を訪ねて
12 乙女の碑に碑文を
この史実を語り継ぐために
エピローグ 心に刻む言葉