超えてみようよ!境界線

アフリカ・アジア、そして車イスで考えた援助すること、されること

著 者

村山 哲也

ISBN

978-4-7803-1136-5 C0095

判 型

B5判変型

ページ数

128頁

発行年月日

2021年01月

価 格

定価(本体価格2,000円+税)

ジャンル

外国事情

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異なるものと出会う勇気がわいてくる 越境のススメ
幼い頃からアフリカに憧れていた筆者は、国際ボランティア活動でケニアの中学校に赴任後、フィリピンやカンボジア、ルワンダで理科教育向上の国際援助に取り組む。いくたびも国境を越えながら、よそ者と身内、性差、階級、敵味方、援助する側とされる側など、さまざまな「境界線」に直面し、旺盛な食欲と好奇心で考察していく。
ルワンダで大事故に遭った筆者が次に出会ったのは「障害」という境界線だった。

筆者が出会った忘れられない味
ケニア 同僚教員からおやつにもらった紙袋の中身は?
フィリピン ダバオの友だちとよく食べた夜店の軽食って?
カンボジア 房のままイカと炒めると絶品の青い実といえば?
ルワンダ 真っ白な花が咲き赤い実がなる黒い名産品とは?
日本 1年近い入院生活を終えてしみじみ味わったのは?

男子か女子か見分けもつかない50人の生徒を前にはじめての授業。おいしいからと渡された紙袋の中身は炒った○○。「日本人とは同じテーブルにつかない」と初対面で言われたわけは…。教育援助の仕事で世界各地を訪れた筆者が、とくに長期にかかわった4か国での体験を語る本書は、かみごたえたっぷり。よかれと思った行動が招いた思わぬ結果、ことばを失うような虐殺の記憶をもつ人をどう受け止めるのか、そして突然の事故で中途障害者となったことから「生きるに値しない命とは」という問いの答えを求めて。移動が制限される昨今ですが、人間の好奇心があるかぎり、越境は止められないと筆者はいいます。また、どこにでも「境界線」はあり、それを乗り超えることはここにとどまっていてもできるのだと。理科教師でもある筆者は、自らの排泄のありのままを描写します。それはとても淡々としています。10代の息子に向けて綴った当初の原稿を大幅に改稿した本書が、むずかしいことに言及しながらもとても温かいのは、若い世代へのエールにあふれているからです。

村山 哲也
1964年東京生まれ。東京都立西高等学校野球部、東京農工大学農学部卒業。名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程前期修了。海外青年協力隊を経て教育開発援助の仕事に携わる。50歳のときにルワンダでの勤務中に交通事故に遭い、車イス生活に。カンボジア在住。

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読売新聞[21年4月4日]に紹介