
身分・差別・アイデンティティ
「部落史」は墓標となるか
著 者 | 畑中 敏之 |
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ISBN | 978-4-87699-816-6 C0021 |
判 型 | 四六判 |
ページ数 | 200頁 |
発行年月日 | 2004年07月 |
価 格 | 定価(本体価格1,800円+税) |
ジャンル |
人間と差別の現在
いま、部落問題はきわめて怪しい状況におかれている。人権・身分・差別・アイデンティティをめぐる論争から、教育のあり方を構想する。
はしがき 3
序 章 「部落史」とアイデンティティ 13
第1章 これは国民融合論ではない 19
議論の仕方について
「封建遺制」をめぐって
「国民」をめぐって
第2章 身分・身元・アイデンティティ 37
——「部落民」とは誰のことなのか
『「部落史」の終わり』の読まれ方
「部落の起源」論=系譜論をめぐって
「部落を名乗る意味」をめぐって
身分・身元・アイデンティティ
第3章 「穢多」「非人」とは誰のことなのか 61
——江戸時代の身分・身分制
「かわた」は「穢多」ではない
非人番は「非人」ではない
「その後非人に相成り」
「穢多非人の類」について
第4章 「部落史」の陥穽 75
——「部落問題は歴史に起因する」のか
〈見直し〉の見直し
癩者が消えた「部落史」——「部落史」は〈誰〉を描いてきたのか
「部落の起源」論という陥穽——部落問題=「あの人達の問題」にしてきたもの
身分論の再検討
部落差別の当事者は誰か
第5章 歴史に何を学ぶか 99
——師岡佑行さんの批判に応えて
はじめに
つながる・つながらない
〈人間と差別〉の歴史叙述の可能性
個の尊厳・自立をめぐって
おわりに
第6章 誰がかれらを「穢多」と呼ぶのか 119
——「部落史」研究における立場・主体性
はじめに
「穢多」呼称をめぐって
「身分的周縁」論をめぐって
(1)「身分的周縁」とは何か
(2)「身分的周縁」論の特徴と問題点
おわりに
第7章 「部落史」は墓標となるか 141
——「人権」看板の氾濫する下で
「部落」から「人権」へ
「穢多」を問う入試問題が差別!?
人名が消された「部落史」
「配慮」=隠蔽が進行する
補 章 現代の部落問題とこれからの同和教育をめぐって 159
考え方の起点としての現代部落問題論 いま「自分は何者であるか」を問うこと 「部落民宣言」の拠り所としての民族と系譜 実体的な拠り所の崩壊と個の未確立 同質性の強調はまちがっている国民融合論の見直し 店じまい論ではダメ 歴史教育としての部落問題学習と人権教育 肩肘を張らない教育実践 地域問題としての部落問題 現在の部落問題 現代人と血縁
あとがき 196
装丁 川本浩
畑中 敏之
1952年、大阪府能勢町生まれ。
大阪大学文学部卒業。同大学院修士課程修了。
日本近世史専攻。文学博士(大阪大学)
現在、立命館大学経済学部教授