樹奏森響
京都美山・芦生の森
著 者 | 広瀬 慎也 |
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ISBN | 978-4-7803-0762-7 C0072 |
判 型 | B5判 |
ページ数 | 104頁 |
発行年月日 | 2015年07月 |
価 格 | 定価(本体価格2,700円+税) |
ジャンル |
The Spirit of forest Ashiu KYOTO
近代・戦後の大規模開発を免れ、京都・由良川源流に原生林の姿を今に残している芦生(あしゅう)の森は、国定公園化の取り組みでますます注目されています。季節ごとに姿を変える森の魅力を伝える写真集。
樹間を吹き抜ける樹木が放つ香気を含んだ心地良い風。
清流が奏でるせせらぎとカジカの甲高い鳴き声。
やがて霧が森を優しく包み、木の葉を透過した陽光が霧を緑に染める。
その中に浮かぶ、遥かなる歳月を生きてきた巨樹のシルエット。
森は季節ごとに、またその時ごとにさまざまな姿を見せてくれます。
京都美山・芦生の森。
この森は全長約150キロメートルに及ぶ京都府最長の河川・由良川の源として流域の人々、そしてすべての生き物を支える生命のふるさとでもあります。
芦生の森は、かつては豊富な木材を加工して各種木工製品を生産することを生業とする木地師と呼ばれる人たちがひっそりと暮らし、近世においては1921 年より京都大学芦生演習林(現・研究林)として各種実験や研究が行われてきました。
そのため大規模な開発の手から免れ、4200 ヘクタールという広大な面積の森林がほぼ原生に近い状態で残されています。
しかし、以前は豊かな緑に覆われていた森も近年は鹿による食害のため林床植生がほぼ消失したり、病害虫の蔓延によりナラ類の大量枯死など森の姿も大きく変化してきました。
それでも美しい姿を留め、訪れる人を魅了してやまない芦生の森。
幾多の試練を乗り越え、生き抜いてきた樹々が奏でる森の響き。
私は森の魅力を少しでも写真という形で表現できればと撮影を続けてまいりました。
そして、ひとりでも多くの方にこの芦生の森の魅力と大切さをわかっていただき、さらにこの森が豊かな森となって後世に引き継がれることを願ってやみません。
頁を開けば森林浴! 京都大学の演習林として知られる原生林=芦生の森の「いま」を伝える写真集。開発を免れてきた自然の森林にも環境破壊の波は押し寄せつつあります。
広瀬 慎也
1963 年生まれ
小学生の頃より写真に興味を持ち始め、
当初はボルタ版トイカメラやオリンパスペンなどで
京都市内を走行する市電などを撮影していた。
中学生の頃よりペンタックスSV で鉄道写真の撮影に傾倒し始める。
高校在学中はニコンFM で鉄道のほか、風景写真撮影にも没頭。
1982 年: 半導体・通信機器製造会社に就職。
1985 年: 自転車にカメラを積み、北海道一周~日本縦断。
1986 年: 初めて美山町・芦生の森を自転車で訪れる。
1990 年: 自転車で風景を撮影しながらカナダ・バンクーバー~ハリファクス
横断(太平洋~大西洋・6600km、所要68 日)。
1993 年: 前回のルートに接続する形でカナダ・ジャスパー~アラスカ・デナリ
国立公園走行(4200km、所要42 日)。
1994 年: 帰国後、海外での経験がもとになり地元・京都北山とりわけ
芦生原生林の魅力を再認識、集中的に撮影を開始する。
1997 年: 京都北山の里山風景をテーマにした写真展「風光彩画」開催。
1990 年: 写真集『芦生の森』出版。
2002 年: 写真集『芦生の森2』出版。
2007 年: 写真集『芦生風刻』出版。
富士フイルムフォトサロン東京・大阪にて写真展「芦生風刻」開催。
2011 年: 富士フイルムフォトサロン東京・大阪にて写真展「樹凛悠久」開催。
2015 年: 富士フイルムフォトサロン大阪にて写真展「樹奏森響」開催。写真集『樹奏森響』出版。
公益社団法人 日本写真家協会・日本写真協会会員
一般社団法人 日本現代写真家協会会員