竹がえし・おはじき

竹がえし・おはじき

たのしい伝承あそびシリーズ1

編著者

田中 邦子

ISBN

978-4-7803-0106-9 C0376

判 型・

A4判変型

ページ数

60頁

発行年月日

2007年06月

価 格

定価(本体価格1,300円+税)

ジャンル

保育・子育て

今どきの子どもたちにおすすめ!
教育現場や子育てのなかで、手を使い工夫する醍醐味をもった伝承遊びが注目されています。「室内あそび編」では簡単な素材でバリエーションが広がる「竹がえし」と「おはじき」の遊び方を、写真とイラストで解説します。

竹がえしの部屋
 竹がえしあそびをはじめよう
 竹がえしチャレンジ表
 1 もちかえ
 2 やぐら
 3 かえし
 4 つかみ
 5 わけ
 6 たてまわし
 7 ひねり
 8 両手ひねり
 9 逆ひねり
 10 両手逆ひねり
 11 魚やき
 12 ひこうき(トンボ)
 13 川わたり
 14 指きり
 15 おこし
     おこしのテクニック
     おこし5本とり
 うたにあわせて

おはじきの部屋
 おはじきあそびをはじめよう
 1 はじきとり(2こはじき)
 2 5ことり(10ことり)
 3 いちりんこ
 4 山くずし
 5 さいごの1ことり
 6 とった玉のかぞえかた

竹がえしによせて
「竹がえし」と呼ばれるあそびは、かなり古くからあったようです。江戸時代の文献によれば、“げへ”という呼び名で紹介されています。しかし、げへの意味はわかりません。
伝承あそびのなかで、特に女の子が好んで遊んだお手玉のことを、別名おじゃみとか、地方によればチャックあそびなどと呼びました。このお手玉遊びに共通するところがあってか、地域によって竹おじゃみ、または、竹チャックと呼ばれて伝承されました。
竹をうすくヘラ型に切りそろえ、内側面を赤く着色して、外面の竹の青色と両面を使い分けて遊ぶものです。手のひらにつかんだ竹ベラを、手を返して手の甲にのせ、そこから一本一本同じ色面で床におろして行きます。手の甲にのった竹ベラを上下にゆすったり、左右にふったりして、色面を変えたり、そろえたりするのですが、なかなかむずかしい技です。でも、むずかしいからおもしろい! ここに子どもたちを夢中にさせる魅力の源があるように思います。
京都で生まれ育った私は、竹がえしといえばせいぜいおこしの技しか知らなかったのですが、大人になってから素晴らしい様式の竹がえしと再会しました。北海道や東北の人からまったく新しい遊び方があることを教えられたのです。30cmもの長い竹ベラで、しかも6本セットにして遊ぶ流儀です。唄もあって、それにあわせて連続展開させていく、というものです。竹と竹のはずむカシャカシャと小気味よい音。束にしてつかんだときの質量感。自然の素材である竹の感触は、なんとも心地よく、この遊びに夢中になっていると、いつのまにか心も身体もやわらかくほぐれて解放されていく感じがします。
男女を問わず、子どもたちにも、高齢者のリハビリトレーニングにも好適なあそびとして、ひろくおすすめしたいものです。さぁ、やってみましょう!
おはじきによせて
おはじきも、私を夢中にさせたあそびです。お部屋のなかの畳の上にひろげて遊んだ思い出もあれば、家の外で大樹の下のすずしいところをみつけて遊んだり、土間のしっとりとした土の上でも遊んだものです。遊ぶ場所によって、はじき玉の素材もいろいろちがっていて、そのぶん多様なあそび方をしていました。
2個の玉をはじきあって、単純にとっていくやり方ではものたりなくなって、年齢がすすむにつれて、本書に紹介した5ことりとか10ことりに夢中になっていきました。
リッちゃん、ナラミちゃん、ヨッちゃんや、妹のキィちゃんらと遊びました。もう半世紀もたつというのに、いっしょに遊んだ仲間の一人ひとりのことも、まわりの情景も、鮮明によみがえってくるのが不思議なくらいです。
家の近くには、大きな木津川が流れていました。その河原で指先大の小石を集めてきて、100個、200個ほどの小石を、底を詰めた植木鉢に入れておいて、おはじきのたびに持ち出してきて遊びました。単なる石ころも、はじき石と位置づければ、それは子ども時代の立派な宝物でした。
夢中になったおはじきあそびの手つきの感覚は今でも懐かしく、数個の小石や豆つぶを手にすると、つい小指を立てて線を引き、爪ではじきあってみたり、手の甲から手のひら側へのつかみ取りをする……、そんな仕草が出てしまう私です。

田中 邦子
日本の伝承遊びの紹介につくしてきた第一人者。各家庭や地域で伝えられてきた遊びを、学童保育の現場で整理し、何冊もの本にまとめてきた。

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