自閉症児の世界をひろげる発達的理解
乳幼児期から青年・成人期までの生活と教育
著 者 | 白石 正久 |
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ISBN | 978-4-7803-0079-6 C0037 |
判 型 | A5判 |
ページ数 | 200頁 |
発行年月日 | 2007年05月 |
価 格 | 定価(本体価格1,800円+税) |
ジャンル |
「目に見える現象」「障害の特殊性」「単一の機能の発達」にひきつけられやすい自閉症に対して、もっと広く深い視野をもって向き合わねばー。
一人ひとりに、ていねいに働きかける指導をつくるために、「障害らしさ」で束ねるのではなく、「その人らしさ」から発達障害をとらえたいー。
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イントロダクション
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1 発達をどうとらえるか
2 自閉症とは
3 乳幼児期から青年・成人期までの生活と教育
楽しい生活、安心できる人
子どもの可能性の発見から「その子らしい文化」の世界へ
自立経験と心理的分離
自らの価値を発見する道すじ
4 発達保障のための基本視点
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第1部 指導の前提としての発達観・障害観
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第1章 連関と過程において発達をとらえる
1 まず問われる実践の優位性
レット症候群の子どもたち
理論と現実の「ずれ」を見抜く実践を
2 発達と障害を認識する視点
人さし指の分離と外界を対象化し共有する力の連関
両手の協応と気持の切り替えの連関
認知と情意の連関
「心の理論」欠如仮説
言語認知障害仮説
見通しの表象の障害仮説
障害と発達の相互浸透
3 人格として認識する視点
4 障害の背景を認識する視点
第2章 発達障害として自閉症を認識する
1 発達障害として認識するとは
2 発達障害として認識することが、人格の自己実現の大切さを見失うことにつながってはならない
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第2部 自閉症の発達障害と指導
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第1章 「対」の認知ができるゆえに「不安」の生起する発達段階
[通常、生後四か月頃〜九か月頃]
人への情動の高まりと「人見知り」の意味
不安をのりこえて
自閉症の子どもの不安の背景
感覚刺激の過敏性をのりこえる指導
偏食とどう向き合うか
人差し指は、外界へ向かう構えの象徴
第2章 他者との共感を媒介にして、感情や意味の共有が芽ばえる発達段階
[通常、生後一〇か月頃〜一歳前半]
予期と期待の誕生
「わざと大人の困ることをする」
第3章 定位と達成感蓄積から、自我が芽ばえる発達段階
[通常、一歳後半〜二歳頃]
定位的活動による共感・共有
定位的活動で人と人がつながる
自閉症の子どもと定位的活動
「○○ではない○○だ」
胸に落ちる行動の転換を
自閉症の子どもの「マッチング反応」
一歳半の発達の質的転換期における発達連関
一歳半の発達の質的転換期と自我の誕生
第4章 見えない世界への表象をもちはじめ、得体の知れない世界への不安が高まる発達段階
[通常、二歳中頃〜三歳頃]
「○○してから○○する」
自他の分化における拮抗と対称性への志向
対比的弁別認識の獲得
得体の知れない世界への不安感
対比的弁別認識をもつゆえの集団参加の不安
【補論】不安と固執傾向が強い機能障害の重い子ども
基本的な行動の特徴
典型的事例
学習された無力感と自我発達の制約
「心の杖」
「回り道からの挑戦」
伝えたい生活の事実と表現手段
自閉症の子どもも描く
注意喚起行動にかくれた発達要求
第5章 「もっとがんばりたい」思いが生まれ、自己修正しようとする発達段階
[通常、三歳後半〜四歳]
「もっとがんばりたい」
花開くファンタジー
【補論】高機能自閉症と四歳の発達段階
発達検査で分析する発達傾向
発達障害の特徴と指導の課題
第6章 発達障害の生成過程と行動特徴
発達連関と行動
行動の問題を惹起する社会的要因
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第3部 提案——ライフサイクルを見通した指導
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1 子どもの時間の単位
2 それぞれのライフ・ステージの尊重
幼児期には生活の楽しさと信頼できる人間関係を
学童期は伝えられる喜びも
思春期は人間関係の再構築
「わが子を見ない」という勇気
自立経験をはじめる
第二次性徴と向き合う
青年期は労働を介して自らの価値の発見を
おわりに
白石 正久
1957年群馬県生まれ
京都大学大学院教育学研究科博士後期課程指導認定退学
障害児の発達診断、障害児教育専攻
右京病院発達相談室、大阪電気通信大学の勤務を経て、現在龍谷大学社会学部臨床福祉学科教授