障害者自立支援法と人間らしく生きる権利
障害者福祉改革への提言2
編著者 | 障害者生活支援システム研究会 |
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ISBN | 978-4-7803-0076-5 C0036 |
判 型 | A5判 |
ページ数 | 408頁 |
発行年月日 | 2007年04月 |
価 格 | 定価(本体価格3,200円+税) |
ジャンル |
障害者自立支援法とはいったい何か
施行後一年にして障害者・家族のくらしや支援施設・福祉施設に深刻な打撃を与えた「障害者自立支援法」とは、いったい何か。その問題を総合的に明らかにするだけではなく、障害のある人が人間らしく生きることのできる社会システムをもとめて、これからの社会福祉政策・運動の課題を提言する。
刊行にあたって
■序章■
障害者福祉施策の動向と障害者運動の課・塩見洋介
1 社会福祉基礎構造改革下の障害者自立支援法
2 障害者自立支援法が描くこれからの障害保健福祉施策
3 これからの障害福祉施策の課題と争点
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第1部 障害児者の生活・発達と自立支援法
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1■障害程度区分認定とそのプロセスにおける問題点 木全和巳
1 「支援法」の障害程度区分の特徴と障害等級判定の歴史
2 「支援法」による障害程度区分の認定の問題点
3 本来の障害程度区分の認定のあり方とは
2■「住まいの場」の事業で障害者の生活はどうなるか 井上泰司
1 日本の施設政策の流れ
2 障害者自立支援法と「住まいの場」
3 障害者の暮らしを支える条件とは
4 地域の福祉力をどう高めるか
3■障害者の日中活動の保障 峰島 厚
1 日中活動への障害者の願い——これまでの到達点
2 障害者自立支援法の日中活動系サービスの検討
3 三類型に即した実践目標をゆたかに
4 今後の検討課題
4■障害乳幼児の療育専門機関による地域療育システムの構築 若林隆泰
1 地域療育システムの到達点の素描
2 自立支援法体制における障害児通園施設と児童デイサービス
3 自立支援法体制での自治体における療育システム推進のために
5■精神障害者の地域生活支援 山本耕平
1 精神障害者が地域で生きるための基盤
2 受け入れる条件とは——精神障害者が暮らせる地域を創りだすために
3 精神保健福祉法がもついくつかの課題
4 医療観察法と精神障害犯罪者の課題
6■「自立支援医療」にみる障害者医療政策の変質 荻原康一
1 旧公費負担医療三制度と自立支援医療
2 自立支援医療のさまざまな制度的欠陥
3 自立支援医療と自治体政策との関係
4 障害者の医療・生活実態と自立支援医療の問題
7■重症心身障害児者施設の現状と課題 杉本健郎
1 重症心身障害児者とは:理解が難しい
2 重症児者施設の苦難の歴史
3 重症児者施設の現状:重症化が進む
4 重症児者施設の在宅障害児者支援:ショートステイや通園
5 重症児者施設と自立支援法、医療保険制度「改正」
6 重症児者施設の今後:解体か存続か
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第2部 障害者支援のゆくえ——専門性・事業・労働
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1■障害者福祉実践とケアマネジメント 植田 章
1 なぜ、障害者福祉現場でケアマネジメントは定着しないのか
2 新しい事業体系への移行と個別支援計画
3 個の支援と集団実践に着目した生活アセスメント
4 個別支援計画作成の基本視点
2■障害者福祉労働の専門性と課題 清水俊朗
1 障害者自立支援法と障害福祉労働の専門性
2 障害福祉労働者の現状
3 障害者福祉労働における専門性とは何か
4 障害者の生活と労働、発達、社会的自立を保障する障害者福祉労働の課題
3■障害者自立支援法下の障害者福祉施設経営 中内福成
1 障害者自立支援法下での施設事業所の実態
2 小規模法人は地域の貴重な社会資源
3 これからの法人経営に求められるもの
4■障害者家族のリアリティと家族支援 田中智子
1 障害のある子どもとの暮らし
2 障害のある子どもと生きる母親・父親の語り
3 “当事者性”を語りはじめた親たち
4 自立支援法は家族をどのように位置づけているのか
5 家族が家族として成立するための支援とは
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第3部 構造改革のなかの障害者福祉と社会保障
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1■福祉における「公的責任」とはなにか 瀧澤仁唱
1 障害者自立支援法と構造改革
2 契約制度導入の問題点
3 社会福祉における公的責任とは
4 提言——障害者法制をより当事者のものとするために
2■障害者福祉と応益負担 西村憲次
1 応益負担になぜ移行させたのか
2 応益負担でどのような影響が生まれているのか
3 利用者負担上限額設定と減免措置
4 応益負担の何が問題か
5 自治体による負担軽減策と地域格差
6 世帯分離と生活保護
3■契約制度化と利用者の権利保障 濱畑芳和
1 契約制度化での障害者福祉の現状
2 契約制度を補完する制度の現状
3 利用者の権利保障の再構築に向けて
4■ナショナル・ミニマムと障害者の所得保障 鈴木 勉
1 所得格差の是正措置を不要視する新自由主義改革
2 障害者の所得保障制度とナショナル・ミニマム
3 所得保障政策の転換の論理としてのナショナル・ミニマム
4 知的障害者の年金訴訟の争点——障害認定基準の狭さ
5 所得保障と人間発達——所得保障で福祉は実現するか
5■地方自治体における障害者福祉政策の課題 岡崎祐司
1 危機にたつ地方自治
2 障害者福祉計画の意義と新自由主義的改革の二面性
3 地方自治体における障害者福祉の基本的方向
4 地方自治と障害者福祉
6■介護保険の現状と障害者福祉改革 伊藤周平
1 社会保障改革の現状と新動向
2 改正介護保険法と障害者自立支援法成立までの経緯
3 改正介護保険法の施行と噴出する諸問題
4 介護保険のジレンマと改革案
5 改正介護保険法のゆくえと二〇〇九年見直しに向けての課題
7■変貌する公的保育制度をどう見るか 中山 徹
1 公的保育制度を崩す認定こども園
2 保育制度の外で保育される子どもが発生する
3 問題の本質は私立保育所が市町村から切り離されること
4 規制改革・民間開放三か年計画と規制改革・民間開放推進会議中間答申
5 公的保育制度の変貌
6 対抗軸をどこにおくべきか
■終章■
「障害者自立支援法」がもたらす不平等の克服のために 竹内章郎
1 「障害者自立支援法」における格差・差別・不平等の次元
2 応益負担という名の市場秩序化志向と累進課税の軽視
3 貨幣循環の三種類と市民権[法]的世界と社会権[法]的世界
4 本来の福祉の破壊
5 むすびに代えて——改憲策動は二五条にも及んでいる
障害者生活支援システム研究会
2000年に発足した民間の調査・研究機関。これまでに、政策提言を3冊、ブックレットを12冊刊行するなど、障害者・家族の立場から障害福祉政策のあり方を探求している。