脱・同盟時代
総理官邸でイラクの自衛隊を統括した男の自省と対話
著 者 | 柳澤 協二 寺島 実郎・池田 香代子 |
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ISBN | 978-4-7803-0448-0 C0031 |
判 型 | A5判 |
ページ数 | 160頁 |
発行年月日 | 2011年07月 |
価 格 | 定価(本体価格1,500円+税) |
ジャンル |
ここまで日米同盟を疑う政府高官はいなかった!
イラクの自衛隊を最初の派遣から撤収まで統括した政府高官が、日本外交の転換の道を模索した対話集。イラク戦争に反対した仏独との違いを朝日新聞の当時の支局長とも議論。「トモダチ作戦」で日米関係を強化する手法なども批判
第一章 安保に依存しない外交を探る(寺島実郎氏と)
第二章 フランス、ドイツ外交の要(大野博人、古山順一氏と)
第三章 市民運動家との初めての対話(池田香代子、志葉玲氏と)
第四章 アメリカ外交をどう見るのか(植木千可子氏と)
あとがきに代えて 菅内閣の震災危機管理の問題点
私が「同盟の相対化」というキー・ワードに辿りつくには、退職して2年ほどかかったわけだが、対談のなかでは、表現は様々でも、多くの方がそれを当然の前提として発想しておられる。別の研究会でも、けっこう頻繁に使われている。それを前提としていないのは、日本政府だけだということに気がついた。今回の震災によって原発の安全神話が崩壊した。神話に固執する人間に客観的な事実は見えない。政府・東電の発表が二転三転した背景には、日本の原発に限ってメルト・ダウンのような最悪の事態になるはずがないという安全神話の根深さがある。本書のテーマに重ねて言えば、日米同盟万能という神話もやがて崩壊する日が来る。そのとき、安全保障の専門家にとって、「想定外」という言い訳は、やはり許されないだろう。
イラクの自衛隊を統括した政府高官が、それを反省し、活字にするというのは、とても勇気にいることだと思います。対談した相手の方は、みなさん「もっと早く柳澤さんと知り合っていれば」と言っていましたが、日本外交を転換するのに、おそいことはありません。本書を是非、ひろげたいと希望します。
柳澤 協二
東京大学法学部卒。防衛庁に入庁し、同運用局長、防衛研究所所長などを経て、2004年から2009年まで内閣官房副長官補(安全保障担当)。現在、国際地政学研究所副理事長
寺島 実郎
評論家、多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長。
外交をはじめ日本のあり方に関する骨太の論評で知られる。
池田 香代子
ドイツ文学者、児童文学者、翻訳家、エッセイスト、平和運動家。世界平和アピール七人委員会メンバー。